兵庫県知事選挙に斎藤元彦氏が立候補しました。齊藤元彦氏は、維新の会の松井一郎や吉村洋文のかつての部下でもあります。
この記事では、斎藤元彦氏と維新の会との関係性について見ていきたいと思います。
斎藤元彦は維新の手下「ホームページで維新議員に」
斎藤元彦氏の兵庫県知事選出馬にあたり、日本維新の会代表である松井一郎氏と面会しています。目的は日本維新の会の推薦を取り付けること。斎藤元彦氏にとって、仲間の維新からの
かねてから「京阪神を一体化し、首都圏に並ぶエリアにしたい」という野望を持っていた松井一郎氏。大阪府知事時代の部下だった斎藤元彦氏の出馬は願ったり叶ったりでした。しかし、自民党からの推薦も匂わす斎藤元彦氏に対し、維新への忠誠度を確認するための言葉を投げかけます。
「アンタ、自民党の推薦が無くても出る覚悟はあるんか？」
鬼の形相で斎藤元彦氏に詰め寄る松井一郎氏。緊張がピークに達する中、さいとう元彦氏は首を縦に振りました。さいとう元彦氏の覚悟を確認した松井一郎氏は、斎藤元彦氏の推薦を決め、こう宣言します。
「彼は維新そのものだ」（Motohiko Saito is ISHIN itself！）
兵庫を維新化すべく斎藤元彦氏を再び配下においた松井一郎。「さいとう元彦は我々の仲間だ」と言わんばかりに、日本維新の会のホームぺージにすかさず「さいとう元彦」の名前を加えました。
以下は、斎藤元彦氏の推薦が決まったあとの日本維新の会ホームページです。よく見ると、さいとう元彦氏は「Members ～役員・議員・支部長～」のカテゴリーに配置されています。
日本維新の会（トップ ＞ 役員・議員・支部長 ＞ さいとう 元彦） さいとう 元彦（兵庫県知事） ・選挙区：兵庫県知事 ・経歴：東京大学卒、元総務省職員 ・生年月日：1977年11月15日 ・選挙区
斎藤元彦氏は表面上、「無所属」での兵庫県知事出馬ということになっています。しかしこのページだけを見ると「斎藤元彦は日本維新の会所属」と誰もが思うことでしょう。
なお、当該ページは立ち上げから約1か月半後、「選挙情報」のページに様変わりしていました。さいとう元彦氏はその後日本維新の会だけでなく、自民党からの推薦も貰っています。さいとう元彦氏も「さすがにこれはまずい・・・」と思ったのか、維新の会との深いつながりを薄めてみせました。
立候補当初から維新の手下に成り下がっていた斎藤元彦氏。さいとう元彦氏に推薦を出した自民党の菅義偉総理大臣も、「どうせ斎藤君は維新の手下なんでしょ・・・」と冷ややかな目をしています。
維新の若頭、吉村洋文に心酔「一緒に仕事できるのは私だけ」
斎藤元彦氏は知事選出馬前の3年間、大阪府の財務部財政課長を務めていました。財務部財政課長時代の上司はさきほど登場した松井一郎（前大阪府知事）、そして現大阪府知事の吉村洋文（日本維新の会副代表）です。
日本維新の会の中では、代表の松井一郎が「親分」、副代表で大阪府知事の吉村洋文が「若頭」のような位置づけです。行政経験が乏しい斎藤元彦氏は、自分と3歳しか違わないにもかかわらず、大阪府知事として活躍する吉村洋文を特に尊敬しています。
以下は兵庫県知事選が告示された7月1日のTwitter上でのやりとりです。吉村洋文若頭の激励に対し、弟分である斎藤元彦氏がリツイートしています。
＜さいとう元彦＞
吉村知事からの応援、本当に心強いです。大阪府に3年間勤務する中で、リスクを恐れず挑戦する姿勢や情報公開の重要性など多くの事を学びました。
守るべき兵庫の魅力は守り、変えるべきものは兵庫スタイルに合わせて必ず変え、県民とともに関西全体のために尽力します。最後まで走り続けます。「吉村の兄貴がついてるから安心だ。俺の晴れの姿、見ていてくださいよ！」
「吉村ラブ」な齊藤元彦氏。斎藤元彦氏は政策などについて聞かれた際、「吉村知事（大阪）と一緒に」を合言葉のように唱えています。
吉村洋文大阪府知事と信頼関係を構築できるのは私しかいない
出典：神戸新聞NEXT
吉村洋文知事と連携し、兵庫と大阪がダブルエンジンで関西をけん引していく
出典：読売新聞（6月25日）
また、吉村洋文知事を招いた対談でも、さいとう元彦氏は吉村洋文知事への崇拝の想いを隠しきれていません。以下、日本維新の会主催の対談でのやりとりです。
吉村：兵庫県の課題はどんなところにあると思う？ サイトウ： はい！県民の命を守ること。そして、吉村さんが実行されている「既得権やしがらみから脱する」ための行財政改革です！！
「吉村の兄貴のように、俺もがんばるんだ！」
さいとう元彦氏からは、兵庫県知事として「兵庫単独で何かをやっていく！」という気概はほとんど感じられません。そもそも斎藤元彦氏は総務省からの出向で大阪に来ていました。会社で言えば異動を命じられたようなもので、自ら切り拓いた進路ではありません。
自分で政治家への道を切り開いたわけでもなく、行政経験も乏しい斎藤元彦氏の背後には、「誰かと一緒じゃないと不安・・・」という想いも透けて見えます。
一方吉村洋文にとって、元部下でもある斎藤元彦氏はカワイイ弟分。「俺や親分（松井一郎）の背中を見て育ってきた」という斎藤元彦氏への信頼は揺るぎないものです。
斎藤さんは僕や松井（元）知事を見て仕事をしてきた。（維新政治の特徴である）自身の身を切る改革をやるといっている。
出典：読売新聞（一部語句を補足）
完全に主従関係が成立してしまっている吉村洋文と斎藤元彦氏。一部紙上で、さいとう元彦氏は大阪とは「対等」と強調していますが、強調しなくてはならないほど、維新の若頭である吉村洋文大阪府知事との上下関係は明白です。
→齊藤元彦の評判がひどい！「ウソばかりつく」中身がない兵庫県知事候補
選挙活動も維新議員と一緒「兵庫を前に進めよう～」
さいとう元彦氏には、自民党と日本維新の会が推薦に回っています。斎藤元彦氏は6月の事務所開きこそ自民党関係者と行った一方、その後はほとんど、日本維新の会議員と共に行動しています。
さいとう元彦氏のFacebookページには、兵庫県知事選出馬表明後から選挙活動を行う様子が連日投稿されています。斎藤元彦氏の様子を見ると、ほぼ毎日のように緑シャツの維新議員と一緒です。
「彼は維新そのものだ」（Motohiko Saito is ISHIN itself）
親分である松井一郎から「維新そのもの」とまで言われている斎藤元彦氏。維新の会の組党員も、次世代の若頭筆頭であるさいとう元彦氏の船出を全力でバックアップしていきます。
■6月13日 阪急「逆瀬川駅」
さいとう元彦氏は日本維新の会関係者と共に、神戸市議会議員とのタウンミーティングに参加しています。緊張の面持ちで出馬への想いを語るさいとう元彦氏。斎藤元彦氏の背後には、弟分の全面バックアップを約束する「若頭 吉村洋文」が笑顔で佇んでいます。
■6月21日 阪急「逆瀬川駅」
齊藤元彦氏は人通りの多い阪急逆瀬川駅付近を、拡声器を持った維新関係者と練り歩きます。このころから徐々にさいとう元彦氏の知名度は高まっていきます。
■6月25日 兵庫県神戸市中央区 ロフト前
三ノ宮駅近くのロフト前での街頭演説です。さいとう元彦氏の周りに集まる維新議員の数は増す一方です。このころから、斎藤元彦氏のイケメンぶりも徐々に浸透し始めました。
■6月27日 兵庫県神戸市中央区 大丸前
兵庫の中でも特に人通りの多い、神戸市の大丸前で記念撮影。さいとう元彦氏の周りに集まる維新議員の数は更に増えてきています。
維新の会の関係者は、サイトウ元彦氏の「応援ソング」なるものも作っています。これまで様々な知事選がありましたが、応援ソングが作成される候補は極めて稀。小池百合子くらいしか思いつきません。歌詞はかなり適当ですが、維新の気合の入りっぷりが伺えます。
兵庫を前に進めよう。さ・い・と・う も・と・ひこ。新し兵庫のリーダー。さ・い・と・う も・と・ひこ～♪ 出典：斎藤元彦候補の応援歌
なお、歌を歌われているのは明石の芸人兼ミュージシャンである「ザ・ふじやん」という方です。南海キャンディーズの山里亮太に似たゆるーい出で立ちが特徴。なお、維新の会との関係性は調査中です。
ちなみにさいとう元彦氏が6月中、自民党と活動を共にしたという情報は維新ほど出て来ません。今回の選挙では自民党内でも、金沢和夫氏と斎藤元彦氏を支援する議員で分裂が起きています。選挙戦は本番が7月とは言え、「さいとう元彦＝維新」という意識が有権者に刷り込まれるのは必至です。
→齊藤元彦の評判がひどい！「ウソばかりつく」中身がない兵庫県知事候補
狙いは兵庫都構想か「斎藤元彦は竹中平蔵の操り人形」
維新の会の手下として、兵庫県知事への道を邁進する斎藤元彦候補。維新の会が兵庫を取る狙いとして、大阪で果たせなかった「悲願成就」を勘ぐる声も聞かれます。
竹中平蔵が菅総理に会う理由に兵庫県知事選があります。 斎藤候補は竹中平蔵の操り人形です。 狙いは兵庫都構想です。 ↑ だよね。立憲と組むなら維新と組むのがマシだろ。大阪みたいに共産党と組むのは論外だけど。
2020年の11月。大阪維新の会は「大阪都構想」の賛否を問うべく、2度目の住民投票を行いました。結果は、反対率50.3%のごく僅差で否決。代表の松井一郎も「自分の力不足。政治家の任期は2023年まで」と政界引退を表明しています。
大阪都構想はすでに2度失敗しているので、再挑戦はさすがに非現実的です。一方、兵庫県を維新（さいとう元彦）が取れば、2年後の政界引退を表明する松井一郎の最後の花道として、兵庫都構想に挑戦する可能性も見えてきます。
実際、維新の会代表の松井一郎も7月1日の定例会見で、「兵庫県は財政改革が必要」「大阪とともに関西をけん引」と述べ、早くも兵庫県の改革に意欲を示しています。
兵庫も改革して県民サービスの財源を確保しないといけない。斎藤さんは大阪府の財政課長として改革マインドも共有できてる。井戸県政の禅定なのか、改革マインドの人（斎藤元彦）が県政を担うのか、ご判断頂きたい。首都圏に対抗するエリアを関西に作るために、大阪だけではダメ。共に関西を牽引していけるリーダー（斎藤元彦）を誕生させたい。 出典：松井一郎定例会見
維新は過去にも、大阪と兵庫の一部地域を含めた「特別区の構想」を持っていました。日本維新の会政務調査会長の浅田均議長は2013年、大阪市と兵庫県の一部地域を統合した「グレーター大阪」という構想があることを披露しています。
「大阪だけでなく周辺10市くらいを合併し、尼崎や西宮を越えて神戸まで特別区にしたい」
浅田均議長は最近、兵庫県・伊丹市長選の立候補予定者の集会で、阪神間を含めた都構想を明かしたという。
それは、現在進行中の大阪市を解体、大阪府と統合して大阪都とする府市再編計画が実現した後の展望だ。2013年4月4日、J-CASTニュースの取材に対して浅田氏は「大阪市内だけだと特別区人口は267万、東京23区（約800万）に比べてかなり小さいわけです。そこで再編が終わったら、周辺10市を合併、特別区として『グレーター大阪』とすることは前からいっていました。長期的な話ですが、伊丹市での話ですのでね、セカンドステップとしてさらに周辺に拡大し、尼崎、芦屋、西宮、伊丹、宝塚、そして神戸までをも視野に入れることも不思議ではないというようなことをお話した」と改めて説明した。
出典：J-CASTニュース
当時、兵庫県民は本構想に「ふざけるな！」と猛反対しました。しかし、今回の知事選で維新（斎藤元彦）がトップに立てば、大阪（吉村洋文）が兵庫（斎藤元彦）と組んで、大阪と兵庫を統合した新たな特別区構想を前に進める可能性すら出て来ます。
有権者からのコメント中に登場する竹中平蔵は、2012年の衆議院議員選挙で維新の候補者を選定する「公募委員会」の委員長を務めていました。まさに「維新の生みの親」ともいえる人物です。
竹中平蔵に頭が上がらない維新の会。人材派遣業を営む「パソナグループ」の会長でもある竹中平蔵は、「正社員は既得権益」との言葉の元、松井一郎がトップを務める大阪市区役所に「非正規社員」をガンガン送り込んでいます。
大阪都構想が実現していれば、二重行政の解消と人件費削減のもと、正社員の削減、さらにはパソナから大阪府への非正規社員送り込みが加速していたことは想像に難くありません。
大阪市の区役所が竹中平蔵のパソナまみれになってる。
維新が公務員を減らす
↓
非正規公務員での穴埋めが必要になる
↓
穴埋めをパソナが行う
↓
竹中平蔵が儲ける
日本人は公務員を叩いて減らしたところで、行政の機能が低下した挙句に竹中平蔵が儲ける結果になると理解すべき。パソナは2020年、本社機能の一部を兵庫県の淡路島に移しました。パソナが入り込んできた淡路島はパソナの施設だらけ。パソナによる兵庫県制圧はすでに始まっている状況です。
竹中平蔵の手下である維新の会。維新の会幹部の松井一郎と吉村洋文の手下である齋藤元彦。さいとう元彦氏が兵庫県知事になった暁には、兵庫都構想をはじめとする「パソナの兵庫支配」が本格的に加速することは必至です。
パソナグループの2021年5月の最終利益は前年比1000%増。感染拡大で国民が苦しむ中、持続化給付金やオリンピック関連事業の「中抜き」で大儲けしたと言われています。「自分たちの利益＞＞
国民の利益」のパソナが兵庫を牛耳れば、兵庫県民は確実に置いてけぼりにされるでしょう。
人材派遣サービスはパソナしか許されていない。43（の競技）会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに（仕事を）出さなくてはいけない契約になっている
出典：立憲民主党 斉木武志議員 談
さいとう元彦氏は今でこそ、「県民の声を聞いて、県民のために政治をやる」と言っています。しかし、斎藤元彦氏がいざ兵庫県知事になれば、維新の会やパソナと結託し、県民不在の政治をやりかねません。
兵庫の未来を維新（パソナ）に託すのか、はたまた違う人間に託すのか。兵庫県知事選挙の行方が注目されます。
コメント