大阪大東市のマンションで吉岡桃七(よしおかももな)さんを殺害したうえ部屋に火をつけたとして、嘉本悟(かもとさとる)が容疑者になりました。嘉本悟(かもとさとる)は吉岡桃七さんの騒音に腹が立っての犯行と言われています。
この記事では嘉本悟(かもとさとる)が騒音でキレたのはデマであることを見ていきます。
嘉本悟が騒音でキレたはデマ!
嘉本悟の住まいは大阪大東市のマンション2階。殺害された吉岡桃七さんは3階で嘉本悟の真上に住んでいました。マンションと言えば、騒音トラブルがつきもの。特に上の階の騒音は、下の階の住人にとって時に死活問題になります。
殺害された吉岡桃七さんは大学4年生。SNSでの「ベランダでBBQ」、「部屋でパーティー」の画像から、騒音トラブルを起こしたとの情報が出回っています。つまり、吉岡桃七さんの騒音で嘉本悟がキレた、というのが事件の本質といった論調です。
しかし、その後の報道で、吉岡桃七さんは騒音を起こしていなかった、ということが分かりました。嘉本悟の隣に住んでいた20代男性による証言です。
吉岡さんの部屋の階がうるさいと思ったことは今までない
出典:産経新聞
吉岡桃七さんの騒音がひどかったのであれば、20代男性も「騒音は確かにあった」などの騒音に関するコメントを出すはずです。吉岡桃七さんの騒音がひどかった→嘉本悟がキレて殺害、は完全にデマだったことになります。
※追記
テレビ報道で、嘉本悟と吉岡桃七さんが住んでいたマンションの周辺住民が騒音に関して証言していました。
・騒音トラブルの可能性はあったかもしれない
・3階のほうがうるさいんですよね
・男の人の複数の声と女の人の奇声が聞こえる
出典:テレビ報道
吉岡桃七さんが騒音を起こしていた、とも取れる証言です。ただし、「騒音トラブルがあったかもしれない」「3階のほうがうるさい」など、発言に確証がなく、かつ吉岡桃七さんが騒音の主かも断定できない表現ばかりです。
騒音問題についてはむしろ、嘉本悟自身が起こしていました。嘉本悟の近くに住む複数の住人が嘉本悟の騒音を証言しています。中途半端なマスコミの報道で騙されないようにしましょう。
嘉本悟自身が騒音トラブルを起こしていた
さらに、住民と騒音トラブルを起こしていたのは嘉本悟だった、とのコメントも出ています。再び、嘉本悟の元隣人男性の証言です。
嘉本悟の隣に住んでいた20代男性によると、4月上旬の夕方ごろに突然、(嘉本悟に)壁をドンドンとたたかれ、間隔をあけながら数時間にわたって続いた。数日後にも、深夜から朝にかけて(嘉本悟によって)同様の行為(騒音トラブル)が繰り返されたという。
当時、男性は寝ているなどして大きな物音(騒音)を立てていなかったが、「(嘉本悟に)執拗(しつよう)に壁をたたかれて恐怖を感じたので引っ越した。自分が狙われていたかもしれないと思うと、震えが止まらない」と振り返る。嘉本悟と顔を合わせた際にあいさつしても、無視されたという。
出典:産経新聞(一部表現を補足)
嘉本悟は夜中に騒音を起こして、隣人を苦しめ退去に追い込んでいたのです。さらに嘉本悟の隣人以外にも、嘉本悟が奇声などの騒音トラブルを発生させていたとの証言があります。
マンション4階の男性(46)は「夜に男の奇声や壁をたたく音が聞こえたことがあった」と話した。
出典:読売新聞オンライン
また、吉岡桃七さんも嘉本悟に殺害される前、騒音に対する恐怖を漏らしていました。
吉岡さんは周囲に「マンション内で怒鳴り声が聞こえて怖い」と漏らしたこともあった。
出典:産経新聞
騒音の主が嘉本悟とは明言していません。しかし、嘉本悟の隣人と同じ内容の騒音トラブルから、奇声や壁ドンなどの騒音は嘉本悟によるものと見て間違いないでしょう。
騒音トラブルを起こしていたのは嘉本悟にも関わらず、「ヒドイ騒音を起こしたから殺害された」と言われた吉岡桃七さんが不憫でなりません。
吉岡桃七さんは、「バイト先でも明るく、皆に慕われていた」「明るい性格で悩みを聞いたことが無い」など人間的に素晴らしい女性でした。さらに、嘉本悟に殺害される間際には「お母さん!お母さん!」と叫ぶほど親とも仲が良かったと言います。
「殺されたのは桃七なのに、なんで桃七が騒音で叩かれてるの!?」
「嘉本悟も絶対許せないけど、桃七を叩く人間も本当に許せない」
最愛の娘を失った吉岡桃七さんのお母さんの気持ちになると、ネットの誹謗中傷民に対してもハラワタが煮えくり返ります。「吉岡桃七さんの騒音がヒドイ!!」と叫んでいたネット民は一度公開処刑されるべきですね。
→吉岡桃七さんがインスタで語った夢とは?叶わなかった大親友との未来
将来有望な吉岡桃七さんが騒音男:嘉本悟に殺された悲しい事件。嘉本悟による殺人と放火の背景には何があったのでしょうか?
仕事のストレスでメンタル崩壊か
嘉本悟は吹田市に本社があるビルメンテナンス会社に勤めていました。大阪吹田市に本社があるビルメンテナンス会社は非常に多く存在します。調べた限りでも以下の会社がビルメンテナンスに携わっている会社のようです。
•株式会社アールシーエス
•ナカタ産業株式会社
•株式会社クレイブ
•SLS株式会社
•株式会社日本ワークプレイス関西
•SBヒューマンキャピタル株式会社
•株式会社ザイマックスアルファ
•関西明装株式会社
•株式会社マルキョウ商事
•株式会社サニクリーン近畿
•株式会社白洋舎レンテックス
•株式会社FUDO corporation
•株式会社ビケンテクノ
•阪神美装株式会社
•旭中央株式会社
嘉本悟の勤務先は現在調査中です。しかし、嘉本悟が従事するビルメンテナンスの仕事は非常にストレスフル。うまくこなす人がいる一方、精神を壊す人も少なくありません。
・激務現場で残業がものすごく多い。体がもたないし、ストレスマッポ。
出典:ネットの声
・毎日働きづめ。「嫌ならやめろ!」というプレッシャーとストレスとの闘い。
・ビルメン(ビルメンテナンス)なんて楽じゃない。精神的にはしんどい
・ビルメンの激務というのは肉体的なものではなく、精神的苦痛に耐えられるか
・ビルメンの代表者が精神障害
長時間残業やパワハラでのストレス。ネットの声なのですべて本当かは定かではないですが、ビルメンテナンスの仕事がメンタル的にきついことは想像に難くないでしょう。
元々嘉本悟容疑者は寡黙な性格。嘉本悟はストレスにも弱く、様々な職に就くも長続きしなかったと言います。嘉本悟は大東市に来てからの仕事も、突然の体調不良で退職しています。
捜査関係者や知人らによると、地元の高校を卒業し、畜産関係の仕事に就いた。その後、ガソリンスタンドや運送会社などで働いたが長続きしなかったという。地元の知人は「無口でおとなしい性格だった」と口をそろえる。
大東市内の家具工場で配送ドライバーとして約5年間働いたが、突然、体調不良を訴えて退職。現場マンションには約5年前に入居して一人で暮らしていた
出典:読売新聞オンライン
配送ドライバーや運送会社も超多忙。スケジュールに追われ、客の要望も激しさを増す中、嘉本悟のメンタルがボロボロになっていったことは間違いありません。
2020年の6月、嘉本悟は運よくビルの警備員の仕事にありつきます。警備員は人と接する必要がなく、嘉本悟自身が希望したものでした。
「一人で働く仕事がいい」と希望し、府内にあるビルで交代制の警備員をしていた。事件前日の4月27日は休みで、事件の日は夕方から出勤予定だった。担当者は「まじめで無遅刻無欠勤。ただ、親しい同僚はおらず、プライベートのことは把握できていない」
出典:読売新聞オンライン
(もう誰にも会いたくない。警備員で食べていければそれでいい)
精神の病は時に、人との触れ合いで緩和することがあります。来る日も来る日も一人だった嘉本悟。元々精神を病みがちだった嘉本悟は徐々に、本格的な精神疾患へと引きづりこまれていきます。
※追記
嘉本悟の顔写真が判明しました。嘉本悟は意外にも、ごくごく普通の会社員という印象です。
「若いヤクザがいる」恐るべき幻覚症状
過度のストレスは精神疾患を引き起こします。中でも最も犯罪につながりやすいのが「統合失調症」です。嘉本悟による「奇声」や「壁どん」などの騒音は、統合失調症の「情動不穏」と呼ばれる症状です。
幻覚妄想による奇声や蹴る・叩く等の暴力は情動不穏
出典:日本精神科看護学会誌,45,2003.
統合失調症の症状で最も恐ろしいのが「幻覚」です。幻覚は周りには見えないものが見えること。知り合いにも統合失調症を患った人がいますが、「総理大臣が家に攻めてくる!」など理解不能な言動が見られました。
やや古いデータですが、統合失調症の患者による検挙件数としては、放火と殺人が最も多いと言われています。嘉本悟による犯行(吉岡桃七さん殺害と放火)と一致しています。
・平成17年(2005年)における一般刑法犯(危険運転致死傷を除く)検挙人員のうち,精神障害者は962人(前年比5.1%増),精神障害の疑いのある者は1,449人(同5.5%増)であり,これらの者が同検挙人員に占める比率は,前年と同じく0.6%である。罪名別では,放火(13.9%)と殺人(9.0%)で高かった
出典:平成18年版犯罪白書
・精神障害別では統合失調症(63.5%)が最も多く,続いてそううつ病(8.5%),知的障害(4.3%)
精神障がい者による嘉本悟と同様の事件は過去にも起きています。
平成6年尼崎市武庫町、精神障碍者が「若いやくざがいる」「嫌な声が聞こえる」との幻覚で隣人宅に火炎瓶を投げ込んで殺害する事件が起きました。
尼崎市武庫町で起きた放火殺人事件で、精神疾患を持つ加害者は以下のような発言をしていた
出典:「心身喪失者の加害と賠償責任リスク : 精精神障碍者の放火事件を中心として」を一部引用
「(被害者宅には)若いヤクザがいる。自分は狙われている」
「(被害者宅から)嫌な声が聞こえる」
またごく最近では、青葉真司容疑者が京都アニメーションのスタジオに放火し36名が無くなるという悲しい事件も起きています。青葉真司容疑者も非正規の職を転々とした挙句、精神疾患と診断されていました。
精神疾患の引き金としては、「仕事のストレス」と「社会との断絶」があります。青葉真司容疑者は2012年にコンビニ強盗を起こした際、「仕事で理不尽な扱いを受け、社会で暮らしていくことに嫌気がさした」と動機を語ったそうです(JIJI.com)
嘉本悟は非正社員の48歳で独身。世間とのつながりも希薄で精神も病む中、いつも明るい吉岡桃七さんへの怒りや自分への悲しみが幻覚などの症状を見せたのかもしれません。
「俺の近くにはヤクザが住んでいる。。。あいつを殺さないと俺がやられる!」
ストレスまみれの嘉本悟が精神疾患(おそらく統合失調症)になり、幻覚に起因する騒音トラブルを起こす。ひいては、上の階に住んでいた吉岡桃七さんを「ヤクザ」か何かと勘違いして殺害し、放火までした。
嘉本悟はすでに亡くなっているので精神鑑定などは出来ません。しかし嘉本悟による事件の本質は、過酷な労働や人間関係に起因するメンタル崩壊と考えるべきでしょう。
コロナで精神を害しやすい時期。いつ第2, 第3の嘉本悟が生まれるか分かりません。女子大学生である吉岡桃七さんのご冥福をお祈りするとともに、二度と同様な事件が起きないことを願わずにやみません。
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